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1年で4倍に!世界的な木材高騰『ウッドショック』の原因とこれから新築をご検討の方へ
住宅業界で今、木材の輸入が滞ったことで始まった「ウッドショック」が日本の住宅・不動産業界の大きな問題として取り上げられています。
そこで今回は
「ウッドショックが起きた4つの原因」
「住宅・不動産業界への影響」
そして特に「これから新築を考えられている方」
に向け、アルファプラス独自の目線も含め、必ず知っておいて欲しい内容となっております。
ウッドショックで日本の木材がなくなる
2021年2月、日本に木材がなくなるという情報が私たちの耳に入ってきました。
日本に木材がなくなるという事は「日本の産業の根幹を支えている住宅産業が正常に機能しなくなる」という事。
正直、そうは言っても常識的にはありえない・・・。情報を耳にしたばかりの当初はそう思っていました。
しかし2021年5月、現在日本の国内の木材在庫は半分まで減少している事が報告され、メディアにも多く取り上げられるほど深刻な問題となって来ました。
そこで、今回は「ウッドショック」について不動産業界の方、そしてこれから新築予定のある方に向け、知っておいて欲しい情報をお伝えしていきます。
ウッドショックはなぜ起きたのか?
ウッドショックが起きた原因として大きく考えられる理由は大きく分けて4つあります。
1,北米で住宅需要が増えた
(図1)
米商務省によると、2020年12月の住宅着工件数(季節調整済・年率換算)は、前月比5.8%増の166万9,000戸と、2006年9月以来、14年3ヵ月ぶりの高水準を記録。(図1)
現在最新の申請件数は188万戸ベースとなり、これは2017年リーマンショック前の不動産バブルの時とほぼ同じ着工数となっています。
その理由として、コロナの影響により金融緩和がなされてアメリカの住宅ローンが下がった事。
そしてリモートワークなどによる在宅時間の増加によって都心の集合住宅から郊外の一戸建てへと移住する人が相次いだ事で都心の集合住宅から郊外の一戸建てへと移住する人が相次いだ事が大きく影響していると考えられます。
2,金融緩和がなされて金利が3%台にまで下がった
アメリカの中央銀行にあたるFRBは金融政策を決める会合を開き、ゼロ金利と量的緩和からなる今の大規模な金融緩和策を維持することを決定し、ゼロ金利政策を発表。
その結果3%中盤代であった住宅ローン金利も下落を続け、現在3%を切るという歴史的な低金利状態となっています。
これを2023年末まで維持する方針を示していますが、物価目標を達成できなければ、2024年以降も継続する可能性が高いと考えられます。
(図2)
また従来、年固定ローンが主力であった住宅ローンに対し
●借入当初の2~5年程度は低い固定金利が適用
●優遇期間内は金利部分だけの返済だけでよい
●金利が支払えない場合には金利分よりも少ない支 払さえ行えばよい
など、変動金利を適用することで住宅ローンを組む人が増えた理由として考えられます。(図2)
3,中国の経済の再開
(図3)
中国の直近2021年1月~3月のGDPは前年同期比が約18%上昇。(図3)
経済の成長に伴う国民所得の向上を背景に、木材の需要と木材輸入が増加傾向に あり、新たな木造住宅の建築や、内装用木材への需要が急激に伸張している事も一つの理由として考えられるでしょう。
4,コンテナ不足
木材が入ってこないもう一つの理由は「海上コンテナの不足」と「海運コストの急騰」です。
横浜港からアメリカのロサンゼルス港にコンテナを運ぶ場合の運賃は、去年4月までは前年より安い水準でしたが、その後、急激に上昇しています。
去年12月は4800ドルまで高騰し、おととし12月の1430ドルと比べると、1年で3倍以上の高騰です。(図4)
(図4)
●米国で家具・玩具・家電などの輸入が増加した事でアジア発北米向けの海上輸送の貨物が急増。
●港に着いたとしても公安作業員の数が少なく、接岸できないため何日も沖で停泊しないといけない。
●寄港地によっては14日間の隔離が必要となり、隔離が解かれない限り船を動かす事ができない
といった理由により、コンテナ不足と海運コストの急騰が考えられます。
また、早い段階で新型コロナウィルス感染症を封じ込めた中国の需要も増えて、アメリカと中国でコンテナの取り合いになっているという情報もあります。
以上、大きく分けてこれらの要因が重なり起きてしまったウッドショックですが、一方で「だったら日本国内の木材を使えばいいのでは?」と考える方もいらっしゃるかと思います。しかし、そこには単純に解決できない問題があるのです。
国産木材が使えない理由
(図5)引用:林野庁ホームページより
(図5)では木材の供給及び自給率を表しています。
もともと日本の住宅には国産材が使われていましたが、住宅需要が増えるに連れ、1963年には木材の輸入が自由化され、安価な外国産の木材を大量に輸入できるようになりました。
安価な輸入木材が手に入る事で、日本の林業は衰退し、2002年には国産の木材自給率は18.8%まで落ち込みましたが、
外国産木材の価格が徐々に上がる事により、少しづつ国産の木材自給率が戻り、現在の自給率は36%となりました。
しかし、それでも国産材には現在の需要を埋めるだけの生産能力はありません。
国産材の製材用素材の価格グラフ
(図6)
また、国産材の価格は2020年7月あたりから上昇傾向にあり(図6)、
国産材を扱う製材事業者なども、かねてから取引きがある企業に優先的に国産材を供給しており、急な要求には対応できていないというのが実情です。
ウッドショックによる住宅・不動産業界への影響
では、大きな影響を受けている住宅・不動産業界は今後どうすればいいのでしょうか?
正直言いますと、現段階では全ての問題を根本的に解決するには国の介入がない限り難しいと言えるでしょう。そして今後は様々な問題が表面化し、下記の問題も乗り越えて行かなければなりません。
●住宅の建築コストの上昇
●工事着工の遅延
●建築コスト、工事着工の遅延による消費者の購買意欲の低下
●材料不足による生産調整
ウッドショックの終息は見通しが経っておらず、1年とも2年とも続くのではないか?と言われいます。
その為、材木の入手が困難になった場合、経費を極力抑えて、問題が解決するまで耐え凌ぐしかありません。
これから新築したい方、予定している方が注意すべき「契約内容」
実際のところ、すでにウッドショックの影響により住宅の金額が上がっている会社や請負件数を限定している会社もありますが、まず理解していただきたいのは、これらは世界的に起きている問題なので、建築会社を責めてもどうにもならないということです。
では今後新築を予定している方はどんな事に注意すればいいのでしょうか?その答えは住宅購入時の「契約内容の確認」です。
契約書の「金額」「建築工期」をしっかりと確認する
ウッドショックの影響により、契約時の内容に金額や建築工期の変更を契約書に謳っているケースが今後増えてくる事が考えられるでしょう。
そのため、しっかりと契約書に目を通し「金額・工期の上限が確約されている」事を確認して下さい。
支払い条件の確認
中には支払い条件が契約時に50%という条件で契約を求めてくる建築会社もあります。
このように契約時に50%を求めてくる建築会社は契約金を運転資金や会社の経費に使われてしまうといったケースも考えられるでしょう。
このような条件で契約をしてしまった場合、建築中に会社がもし倒産するような事があれば最悪の場合、契約時に支払った金額はほぼ全て返金不能となるでしょう。
契約時には上記の内容の説明を建築会社からしっかりと受け、ご自身でも必ず契約書の内容を確認し、信頼の無い会社では契約しないよう注意して下さい。
アルファプラス株式会社の具体的対策
当社では自社建物(建売住宅・建売収益物件)と請負建物(住宅・収益物件)が約5:5という割合で施工しているため、
自社建物で本来使う予定だった材料を当面、請負建物に回す事ができるため、工期に関してもウッドショックの影響を受けず、供給する事が可能です。
また、当社は約7年間、中四国の賃貸住宅完成戸数No.1の建築実績があるため、大手材木会社からの材料割当て枠も多く、十分な在庫を確保しております。
これから新築をお考えの方、1年以上先の着工予定を提示され、迷われている方は是非当社までご相談ください。